Aira Mitsukiの眼差し

3月4日、秋葉原
仕事用の電子部品を購入する為、ラジオデパート、会館、センターと世界三大ラジオを総なめにして一先ずの目的を果たす。

しばしのAcL(Akihabara cruising Love=アキバ巡りが好き)を楽しんでいると、ふと気が付いた。

Aira Mitsukiのデビューイベントがあったんだ。
http://www.airamitsuki.com/

3月5日「チャイナ・ディスコティカ」でメジャーデビューするAira Mitsukiのイベントが石丸ソフト1で開催される。
足を運んでみることにした。

開演時間まで別のフロアで過ごしていると、2人組みのギャルがAiraのポスターの前で何やら話をしている。
イベント告知の内容を確認しているようだった。
いくらデートピアがメディア何たら戦略を駆使しようとも、メジャー以前にイベントに足を運ぶようなギャル風情ちゃん達のファンが付くとは考え辛い。

Airaの友達だろうか?
丁度自分もイベントスペースに移動していたところだったので、
結果的に(偶然ね)彼女達が僕のすぐ後ろを歩くような形になった。

やはりこういう場所は慣れないようで、アニメDVDのポスターなど気圧される様子が後方から伝わってくる。
イベントスペースの入り口でCDを購入していると、彼女達は購入の気配など全く見せず会場に入っていった。

CDを買い、握手会の参加券をもらって席に着く。
ギャル2はこれまた偶然(飽くまで偶然、な)僕の斜め前の席に並んで座っていた。
会場にはPerfumesaori@destinyのイベント、ライブ会場で見かけた人達多数。
二人はもの珍しそうに周囲をキョロキョロと見回している。
そうだ、それが普通の反応なんだよ。すっかり場慣れしてきた俺泪目。

定時の19時を少し過ぎて客電が落ちる。
赤のカンフー着にポリシックスバイザーをつけた2人組みがステージに現れる。
ん?airaって二人組みなのか?
高校の時、後輩に「B'zのメンバー言ってみて」と言ったら、
「えー、ベースとドラムとぉ・・・」
と言った事を思い出した。いや、脈絡は無いけど。

少したってAiraが登場。
モノトーンの衣装は「逆モノクロームエフェクト」とも言える可愛いワンピース?な感じ。

  • チャイナ・ディスコティカ
  • Romantic Rope
  • カラフル・トーキョー・サウンズNo.9
  • Star Fruits Surf Rider

最後の曲はコーネリアスのカバー。
自分のイベントをカバーで終えるというセンスに驚愕した。
クラプトンのライブに行って、エンディングが「哀しみの恋人達」だったらビビるでしょうが、あーた。
焼肉屋行って「おまかせコース」頼んで「メインでございます」ってラーメン出てきたらビビるでしょうが、あーた。

曲、パフォーマンスともにやはりPerfumeの影は隠せない。
MCは非常にたとたどしい。
なんだかちょっとデビュー記念のイベントなのに、嬉しい感じとか喜ばしい感じが薄くて淡々と時間の過ぎていくイベントだった。

斜め前のギャル2達はと言えば、曲中何かを耳元で話したり、様子を伺うようにairaに手を振ってみたりしていた。やはり友達なのだろう。

一体の今日のAiraは彼女達の目にどんな風に映ったのだろうか?

Airaのデビュー前は彼女達と同じようなギャルだったと聞くし、
元々はトランスのコンピアルバムのボーカルオーディションに合格して芸能界入りしている。(デビューに伴い、大学進学を蹴ったと本人談。)
だが事務所の方針か、流行に合わせたのか何なのか、デビュー後は「テクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズを背負って活動するも、やれ「Perfumeのパクリだ」「劣化コピーだ」と揶揄される。
今回メジャーデビューにあたっても、事務所の方針か、北京オリンピックに合わせたのか何なのか、中華風味満載の楽曲が用意され、中国でRECをし、ライブをし、さぁ!いざデビュー!という所で、ギョーザ騒動である。

逆境ナインか!
お前は不屈闘志か!

と言いたくなるほどの逆境なのだ。
僕の斜め前には、Airaがデビューも何もなくそのまま時間を過ごした一つの形として、ギャル2がいる。
そしてステージ上には今現在のAiraが、笑顔でヲタおっさん達に対応している。
「人生の分かれ道」を目の当たりにして僕は何だかすっかり切なくなってしまった。

ギャル2は演奏が終わるとすぐに帰っていったが、
果たしてその帰途、何を思い、何を話したのだろう?
Airaすごいね、頑張ってるんだね」なのか
「アイドルってマジ大変だね、あんな客に囲まれて」なのか、
知る術も、由もない。

握手会が始まり僕の順番になる。

「メジャーデビューおめでとうございます。」
「ありがとうございます。」

間近で見るAiraは写真や映像の印象とは違い、とてもシャープな美人という印象。
だが、その瞳は深いけれど底の見えないモノトーンカラーという印象だった。

「楽しいことばかりじゃないと思いますけど、頑張って下さい。」
「・・・ホントそうですね・・・。」

「でも良いパフォーマンスを続ければ良い結果につながりますよ!」
と続けるつもりだったのだが、このAiraの反応に体が固まってしまって何も言えなかった。
その時の彼女の眼差しが忘れられない。
それが本当かは分からないけれど、その眼差しにそれまでの辛いことや、今の状況についての複雑な心境が全て表れているような気がした。
切ないモノトーンアイズ。そんなキャッチコピーの方がいんじゃねぇか?と思える程の切ない瞳。

いつか、ギャル2達が満場一致で(っても2人だけど)Airaの事を羨ましいと思えるように、
そして、いつかその瞳が彼女の1stシングルと同じにカラフルな音を奏でる様に祈るばかりだ。


後日談
この日のイベントで脱臼の様な痛みを感じ、病院に言ったところ、
脱臼ではなく肺気胸だと診断されたらしい。


こ、これが、逆境だーーーーーーーーーーーー!!!

チャイナ・ディスコティカ

チャイナ・ディスコティカ